法隆寺にある玉虫厨子には、本物の玉虫の羽がつかわれていると言います。
これはもともと一過性の楽しみのために作られたものなのでしょうか。
それとも或る程度は保存できそうと踏んでの製作だったのでしょうか。
実際の羽の玉虫色は、油を水に浮かせたときのようなギラギラしたもので、そのものの美しさの程度は見る者によって判断が分かれるところです。
けれども、昔の人工物は今ほどに種類の数がなかったのでしょうから、玉虫の羽なんて上等な方だったのでしょう。
作るものが、見る者を喜ばせ驚かせるために作るとして、さて実用に向いたかどうかはわかりません。
それでも、厨子は現存していて、何かを物語っています。